北海道 洞爺にあるMICHEL BRAS Toya Japon<ミシェル ブラス トーヤ ジャポン>を訪れました。
ミシェル ブラスのスペシャリテを含むランチのレビューと合わせて、行ってみてわかった予約やアクセスに使える情報をご紹介します。
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ミシェル ブラス トーヤ ジャポンとは
◆ フランスのl’Aubrac Laguiole<オーブラック地方ライヨール村>で三ツ星を獲得し続けているレストランMichel Bras<ミシェル ブラス>(現在は息子が引き継いでBras, Le Suquet)の世界初の支店。
◆ 21世紀を代表するトップシェフの一人ミシェル ブラスは、調理学校で学んだり他の有名レストランで修業をした経験がなく「自然から料理を創作する異色の料理人」と称されている。
◆ 洞爺と故郷ライヨールに共通する自然の豊かさと北海道食材の秀逸さに感激して支店を決めたという。
↑フランス本店の画像を見ると、壮麗な大自然を見下ろす景色がよく似ていることがわかります。
◆ ミシェル ブラス氏は、仏Le chef誌のミシュラン二ツ星&三ツ星シェフ528人による投票で「2016年 世界のベストシェフ100名」1位
◆ ミシェル ブラス トーヤ ジャポンは、Opinionated About Dining格付けで「2016年 クラシカル&ヘリテージ レストラン」1位
◆ ここで部門シェフを勤めた料理人の中から、HAJIME<ハジメ>の米田 肇氏、L’Effervescence<レフェルヴェソンス>の生江 史伸氏など、世界に通用する料理人を輩出している。
「並外れた料理を並外れた場所で」
「おいしい」を「美しい味」と書く国が他にどれほどあるかは知らない。
この美味しい料理「ガルグイユー」は、まさに美しい味のする料理だ。
80種以上の野菜、香草、食用花、ハム、複数のソースで構成されており、ひと匙ごとに味が違い、香りが違い、官能が違う。
まるで移りゆく自然の風景を次々と口に入れているような感覚。
Gargouillou<ガルグイユー>はオーベルニュ地方の伝統的な郷土料理で、元々は水に浸したジャガイモと地元のハムを煮込んだ料理だった。それをミシェル ブラスが独自の感性で組み上げて、現代フレンチの新潮流となった一皿とも言われている。
「郷土料理を現代風に洗練させて、最高の食材で再構築する」という手法は、有名シェフのスペシャリテによく登場する。
長く愛されている古典には理由がある。その深い理由を解釈し、昇華させ、意味を再定義する作品が生まれたとき、その作品は新しい古典として歴史を動かし始める。ガルグイユーに触発されて数多くの料理が生まれたように。
合わせるワインは、フランスの地元ガイヤック産のビオワイン。このマリアージュは、地球から生まれたものたちが奏でる美しい地球の味がした。
ムール貝の泡が秋刀魚を包む。合わせるワインはコート・ド・デュラ白。秋刀魚の苦味の後でワインの甘みが増す。
ソースに燻製をかけている。中華っぽい八角系の香り。合わせるブルゴーニュ赤の野性味のある香りがキノコや燻香に合う。
ジャガイモのピュレにトムフレッシュ チーズなどを混ぜた付け合せ。素朴でしみじみとした美味しさの郷土料理。日本のとろろ芋、いも餅のような存在か。
チーズワゴンから好きなだけ。右上のサントモール ド トゥーレーヌ(外側に炭をまぶした丸いシェーブル)が良い熟成でとても美味しい。これは帰ってからも食べたい!と思い、通販のチーズ屋で熟成士モノを検索して注文してしまった。
温かい部分と冷たい部分、固体と液体のコントラスト。「流れ出る」という意味をもつ「クーラン」のバリエーションは多種多様。今回はベリー系と竹炭。
ビスキュイ生地はカチカチだが水分を含むとホロホロとなる。フォンダンショコラのように見えるが違う。このバランスで作るのが難しそうな構造。
小菓子のソルベを好きなだけ。周りの席の女性客が喜びの声を上げた。
窓から見えるこの景色が料理の風味を印象付けるバックグラウンドになっている。自然の大きさとありがたみが視覚から入ってきて、心が開いていく。
眺めも味のうちだとすると、これ程の美食空間はそうはあるまい。
夜は真っ暗闇なので、景色込みならランチが◎。
約3時間の楽しく美しい至福の食事でした。
ミシュランは三ツ星レストランの条件として「そのために旅行する価値のある卓越した料理」を挙げていますが、まさにミシェル ブラス トーヤ ジャポンには、そのロケーションと料理があります(2017年版では二ツ星)。
北海道食材とさらに優れた融合をみせれば、三ツ星復帰もありえると思いました。
(と書いているところに)ブラス本店が三ッ星の返上を申し出たというニュースが流れました。巨大なプレッシャーがレストランに悪影響とのこと。
今後どうなるにせよ、ガイドブックの力がレストランと客の幸せな関係を妨げるようであれば、見直されるべきなのでしょう。
一本のナイフ 一本の相棒
ライヨール村には、自分用のナイフを生涯大切に使い続けるという伝統があり、レストランへ食事にいく時も自分のナイフをホルダーに入れて持参する人々がいるそうです。
食事の間は一本のナイフで楽しんでほしいという提案を込めて、テーブルにこんなメッセージが添えられています。
何世紀にも渡ってライオールの人たちと共に歩んできたライオールのナイフ。
オーブラックのひと時を一緒に過ごして頂くためのお食事では、あなたのおそばに。
日本のマイ箸とは少しニュアンスが違う印象です。
一生に一本、質の良いナイフを持ち、手入れをしながら、大切に使い続けるということ。
料理だけでなく食習慣や伝統も含めた文化を味わってほしい、自分のルーツを大切にしたい、というミシェル ブラスのメッセージだと受け取りました。
2017年ミシェル ブラス来日フェア
11月24日(金)~26日(日)の3日間
今回の来日フェアは<ディナーのみ>
30,000円+オプションでワインペアリング17,000円(+税サ)
毎年この来日フェアに来られる常連の方もいらっしゃるとか。
ミシェル ブラス氏は1946年生まれのご高齢ですし、ライヨールの本店は息子のセバスチャンに引継ぎが進んでいるので、本人の来日フェアは価値があります。
しかも北海道食材とミシェル ブラスの組み合わせは、ここでしか食べられない。
≫ ミシェル ブラス トーヤ ジャポン<公式サイト>
直通:0142-73-1159 (9:00~20:00)
水曜定休・木曜ランチ休
ミシェル ブラス食事付き宿泊プラン
せっかく遠方までオーベルジュを訪ねて食事を楽しんだら、ゆっくり泊まるのが最高の楽しみ方。
ディナーで遅くまでワインを飲んで、いい気分のまま部屋に帰って寝るだけという幸福感がたまりません。
ランチ付プランの場合は、泊まった翌日にランチ利用とのこと。
(「到着日のランチ利用希望」は電話かメールで連絡して要確認)
ミシェル ブラス トーヤ ジャポンへのアクセス
ミシェル ブラス トーヤ ジャポンがある高級リゾート施設「ザ ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」へは、以前は新千歳空港から送迎バスがあったようですが、2014年に運行休止。今は最寄駅からのシャトルバス、レンタカー、公共交通機関を利用します。
(リッチな移動をご希望の方には ≫ ロールス ロイスやレクサスの有料送迎があります)
※要予約=予約のない便は自動的に運休
レストラン予約時に、合わせてバス予約も依頼できます
>行き JR洞爺駅発→ホテル着
10:50→11:30 (ランチに間に合う)
13:00→13:40 (ランチに間に合わない)
14:20→15:00 (チェックインする人向け)
16:55→17:30 (ディナー早めに間に合う)
18:40→19:10 (ディナー遅めに間に合う)
>帰り ホテル発→JR洞爺駅着
08:45→09:15
09:30→10:10
11:30→12:10
13:00→13:40
15:30→16:10 (←に間に合うようにランチを終える)
ディナー後に出る送迎バスは無いので移動は車かタクシー
≫ 地元タクシー 札幌交通洞爺営業所 0142-75-2266
札幌から日帰りコース
北海道旅行のチャンスに、せっかくだから洞爺まで足を伸ばしたい時は、路線バスや鉄道を使って「札幌→ミシェル ブラス トーヤ ジャポン(ランチ)→札幌」のスケジュールも組めます。
>行き
10:10 札幌駅前バスターミナル10番乗り場 東町サンパレス行き 2,780円
12:29 洞爺水の駅下車
12:30 タクシー乗車 約3,000円
12:50 ホテル着
※<バスは予約制> 道南バス札幌駅前窓口か札幌営業所 011-865-5511
※<地元タクシー> 札幌交通洞爺営業所 0142-75-2266
→事前に「洞爺水の駅に12:30」で配車予約しておく
※ランチ13時開始「帰りに15:30のシャトルバスに乗りたい」とレストランに伝えておく
>帰り
15:30 ホテル発 シャトルバス
15:55 洞爺湖温泉下車 1時間ほど観光してバスターミナルに戻る
17:10 洞爺湖温泉バスターミナル発 札幌駅行き 2,780円
19:50 札幌駅前着
※<バスは予約制> 道南バス洞爺営業所 0142-75-2351
>行き
08:39 札幌駅発 特急スーパー北斗 5,400円
10:31 洞爺駅着
10:50 洞爺駅発 シャトルバス
11:30 ホテル着
>帰り
15:30 ホテル発 シャトルバス
16:10 洞爺駅着
16:49 洞爺駅発 特急スーパー北斗 5,400円
18:41 札幌駅着
東京から日帰りも可能
「そうだ、洞爺行こう」と思い立ったら、東京から飛行機で日帰りもできます。
(なかなか思い立ちませんが、先延ばしにしてるといつ行けるかわかりませんし)
>行き
06:50 羽田発
08:20 新千歳空港着
09:00 新千歳空港発 JR快速エアポート
09:03 南千歳駅着 乗り換え
09:11 南千歳駅発 特急スーパー北斗
10:31 洞爺駅着
10:50 洞爺駅発 シャトルバス
11:30 ホテル着
>帰り
15:30 ホテル発 シャトルバス
16:10 洞爺駅着
16:49 洞爺駅発 特急スーパー北斗
18:11 南千歳駅着 乗り換え
18:24 南千歳駅発 JR快速エアポート
18:27 新千歳空港着 空港でお買い物
19:30 新千歳空港発
21:05 羽田着
>行き
07:15 成田発 第2ターミナル駅から第3まで遠いので早めに
08:55 新千歳空港着
09:44 新千歳空港発 JR快速エアポート
09:48 南千歳駅着 乗り換え
10:00 南千歳駅発 特急スーパー北斗
11:24 洞爺駅着
11:30 タクシー 約4,000円
12:00 ホテル着
>帰り
15:30 ホテル発 シャトルバス
16:10 洞爺駅着
16:49 洞爺駅発 特急スーパー北斗
18:11 南千歳駅着 乗り換え
18:24 南千歳駅発 JR快速エアポート
18:27 新千歳空港着 空港でお買い物
19:45 新千歳空港発
21:30 成田着
JETSTARの行きは、06:15 成田発という安い便(3,000円台から~)がありますが、前夜からの成田空港内待ち時間が発生します。それでもOKならANAの行きと同様に10:50 洞爺駅発のシャトルバスに乗れてタクシー代が節約できますね。
他の航空会社や到着便でも、新千歳空港着の時刻を目安にして組むことができます。
JALの07:30 羽田→09:00 新千歳などもいいですね。JALの先得プランはかなりお得で、早めに予約することで片道1万円台前半で買えます。
※悪天候や混雑による遅延や運休することがありますので、状況の事前確認が必要です。
洞爺湖温泉に泊まるなら
洞爺湖近くに泊まりたい、洞爺湖花火が見たい、温泉にも入りたいという方は洞爺湖温泉の旅館が便利です。
ホテルの送迎シャトルバスは洞爺湖温泉バスターミナルにも停まるので、ザ ウィンザーホテル洞爺に泊まらずに温泉街へ戻る人も利用しています。
東京でガルグイユーを食べるには
ガルグイユーをスペシャリテとして出している凄腕シェフがいます。
東銀座 Le jardin des saveurs<ル ジャルダン デ サヴール>の中澤シェフです。
中澤シェフはミシェル ブラスの薫陶を受け、自分のレストランの名付け親にもなってもらっています。
こちらのガルグイユーは温野菜中心でソースが敷いてあり、ブラスのものとはスタイルが違いますが、数十種類の野菜や香草ひとつひとつに最適な調理を施してから融合させるという手法はブラスと同じ。いやむしろ、中澤シェフならではのこだわりを注いで昇華させたもの。
中澤シェフはガルグイユーだけでなく、他にも絶品のスペシャリテをお持ちですので、クラシックで本当に美味しいフレンチが食べたいときに是非どうぞ。
≫ ル ジャルダン デ サヴールはランチ&ディナーでガルグイユのあるコースが選べます
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