Life with Wine

ご挨拶

私はこれまで、ワインのご紹介に一方ならぬ情熱を注いできました。あるいは、その時々のワインとの出会いが、私の人生をこの道に導いたともいえるでしょう。

自分がいいと思うもの、「これならお客様に喜んでいただける」と思うものだけを選んで参りました。人の好みは様々ですが、やはり良い物は価格以上の感動を与えてくれるものです。

特に記憶に残るようなワインとの出会いは、人生を豊かにしてくれると共に、一緒に飲む友人達との時間をかけがえのない思い出にしてくれます。

今まで体験したことの無いような味わいのワインや、料理と絶妙の相性を持つワインを発見する度に、この職に就いてよかったと思うのです。

実は、私は以前、赤ワインが飲めませんでした。「よくこんな渋いものが飲めるな」と思っていたところ、ある人に勧められた赤が驚くほど美味しかったのです。

「ベリー系の芳醇な甘い香りに、滑らかな果実味は渋みを感じないほど麗しく、するすると喉を滑っていくようだ・・・」。

その時の赤ワインはブルゴーニュの中でもエレガントなタイプで知られるヴォルネイ1級の1989年でした。

その時に、私は悟ったのです。

「ワインを嫌いな人は、本当に美味しいワインを知らないだけなのではないか。
一杯の美味しいワインを勧めてくれる人がいるだけで、その人はワインの世界の扉を開けることができる」

それから、ワインの奥深い世界を探求しようとレストランで働き、夜な夜なワインバーを飲み歩くようになったのが本格的な勉強の始まりでした。そのまま厳選したワインをご紹介する通販事業に携わり、今日まで年月を重ねています。


当時のお客様はプレミアムクラスのクレジットカード会員の方々が中心で、ワインにこだわりのある方ばかり。

「お店の格は、お客の格がつくる」の言葉通り、私のこだわりにもますます磨きがかかり、お客様に気に入っていただきたい一心で、数百種ものワインをセレクトして参りました。

ある時、お客様からお誕生年の1950年代のラトゥールをご用命いただき、お手配したことがございます。

私は事前に、
「このヴィンテージはパーカーが酷評していますが、私はあえてお勧めいたします。グラスに注いでから、空気に触れて味わいが落ちていくことが予想されますので、お早めに飲まれますように」
と、申し添えました。

後日、「あなたの言った通り、グラスの中の寿命は短かった。けれど、とても素晴らしい味わいで、同席した皆が感激していました。有難う」とお礼のお言葉をいただきました。

私は、自分がそのラトゥールを飲むよりも嬉しく感じたことを覚えています。

このようなお客様との思い出ひとつひとつが私にとっては財産であり、数々の経験を通して、自分なりにワインの審美眼を磨くことができたのです。

毎年、6000種類以上もの試飲を重ね、新製品や既存銘柄の熟成度合いをチェックしながら、自分の舌で、確かなもの、いいものをお選びしています。

その中でも「もし売れ残ったら全部自分で買い取るので、仕入れたい!」と惚れ込んで企画したデイリーワインの6本セットがありました。全て無名のワインばかりでしたが、ご紹介したとたんに300セットが完売し、リピートのご注文も続々といただいて、結局シリーズ化して計2000セット、12000本以上のご注文をいただきました。


ワインに関する情報は、昔とは違いとても豊富になっています。オンラインショップなどから山ほどのメルマガを受け取っておられる方もいらっしゃるでしょう。

私はそのような情報のほとんどはノイズだと思っています。自分が本当に良いと思えるものには、なかなか巡り合えないのが実情ではないでしょうか。

大量の情報の中で途方にくれてしまわないために、どうすればよいのでしょう。

そこに、レストランでソムリエが存在する理由があります。

世界ソムリエコンクールの日本代表に選ばれた佐藤陽一氏は、ソムリエという仕事を、「森林ガイド」に例えます。

森を歩く時、一人でただ歩いているだけでは、豊かな自然をすべて味わい尽くすのは難しい。

しかし、ガイドと一緒に森を歩いたらどうだろうか?

こずえの陰で鳴く鳥のさえずりや、季節の草花の移り変わり、珍しい動物や昆虫など・・・。

ガイドの案内によって、一人で歩いている時には気付かないような、自然の奥深さを満喫できる。

ソムリエも、ワインという奥深い世界を案内するガイドだ。

ソムリエの仕事はワインを語ることではない。ワインで人を幸せにすることだ。

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」より)

同じように、ワイン通になるということは、ワインに詳しくなることではなく、ワインという森を楽しむ達人になることだと、私は考えます。

ワインの知識の目的は、薀蓄を語るためではなく、あくまでも「自分とゲストがもっと楽しむ」ために。

ワインの知識をひけらかすことと、教養があることとは違うと思います。教養がある人とは、楽しむ才能を磨き、人を楽しませることを楽しむ感性を持っている人のことではないでしょうか。

「ワインの世界は、複雑で、多様で、覚えることが沢山あって・・・」と敬遠されがちです。

でもガイドがいて、

  • 「これをおさえておけば特徴がつかめます」
  • 「まだ知られてない掘り出し物があるんですよ」
  • 「贈り物に選ぶにはここがポイントですよ」
  • 「これを飲まないなんて、もったいない」

と教えてくれたら・・・。

きっと、思いがけない発見が、あなたにワインを楽しむコツを教えてくれるでしょう。


本当に良いワインには人を惹きつける魅力があります。さらにその魅力を味わう為には、味わう側にも共鳴する感性が必要です。

私が案内するワインを体験していただくことによって、ワインの世界の「土地勘」が養われ、目の前に広がる奥深い旅を何倍にも楽しむことができるのです。

やがて、ワインがあなたの人生を豊かにしてくれることを実感されるでしょう。

例えば・・・・

  • 食事の席では「ワインを選んで」と頼まれるようになった。
  • プレゼントしたワインが「美味しかった」と喜ばれた。
  • 一年前より、ワインを美味しく感じるようになった。
  • 評論家のポイントよりも自分の好みのほうが大事だと気付いた。
  • ワインを飲む場面の主役はワインではなく、「人」だ。
  • ワインを飲みながら、ワイン以外の話で盛り上がるのが楽しい。
  • ワインと料理がお互いの個性を引き出し合うマリアージュ(結婚)は素晴らしい。
  • ワインで繋がる仲間を愛し、ワインが広げてくれた世界に感謝する日々だ。

これからも「あなたのお勧めだから」と信頼していただけるお客様に、自分の感性で選んだ確かなワインをご紹介することで、ワインのある豊かな人生のお手伝いをさせていただけますよう努力して参ります。