シャトー オー ブリオン 1990年は、前年の1989年(パーカーポイント100点満点)の影であまり目立ちませんが、飲んでみるとあまりの美味しさに陶然となる傑作です。
パーカー「ボルドー」第4版より
(オー ブリオン 1990年は)深遠なワインで、過去25年における偉大なオー ブリオンの1つである。
不死身の1989年が投げかける巨大な影にいささか隠れてしまったところもあるが、急速に成長し続けている。
実際、1989年より成長しているのだが、古典的なオー ブリオンらしい日に焼けた土、華やかないぶしたハーブ、タバコ、甘いカラント、イチジク、ブラックカラントのノーズも見せている。
非常に豪勢な、官能的な舌触りをしており、フルボディで、凝縮感は偉大、純粋さは卓越している。
酸は弱く、非常に甘い、継ぎ目なくまとまったタンニンがあり、このワインには、既に偉大な複雑さや近づきやすさが見られる。
飲むのを我慢するのは極めて困難なことだ。
さらにパーカーは、評価ポイントを(第3版 96点から)98点に上方修正しているのですが、もうそんな細かい点数はどうでもいい。
一口飲めば「これほどのワインに出会うことは、そうそうあるものではない」とわかるからです。
当たり年のオー ブリオンはここまで凄いのか
最初に飲んだのは2009年頃、フレンチレストランAPICIUS<アピシウス>でした。
20年近い瓶熟成で、かつハーフボトルでしたので、熟成が進みすぎているかな、と思ったのですが全くそんな気配なし。
舌触りがとてもなめらかで、まさにヴェルヴェット。きめ細かいタンニンと豊かな果実感がなめらかに調和していて、平年のオー ブリオンとはレベルが違います。
トロリとした質感の液体の中に、特別なワインが持つ「不屈」とでも言うような不思議な力を感じさせます。
「オー ブリオンって、ここまで凄いワインになるんだ」と驚き、同席者と顔を見合わせました。
そして、私がその年に飲んだ全ての赤ワイン(テイスティング含む約2,000種)の中でベスト1位として記憶され、その後ショップ在庫などを見つけるとストックするようになりました。
1989年がパーカー100点のプレミアムで15~25万円になっているのを横目に、割高感のない1990年を狙うことができました。
今買って飲むなら良い年の古酒を丁寧に探すこと
オー ブリオンを含む5大シャトーは、世界的な需要増も重なり、どんどん価格水準が上がっています。
特に近年の当たり年2005年、2009年、2010年などはリリース時から非常に高い価格で流通しています。
1990年と価格を比較して購入を検討できるのは、2000年くらいでしょうか。
しかし、新しいヴィンテージを買って飲み頃まで待つ時間も考えると、今買って飲むなら、古酒の中にこそリーズナブルなものが見つかるのです。
オー ブリオンの当たり年は、他の5大シャトーよりも飲み頃の期間が幅広いとも言われており、30年かそれ以上熟成する力がありますので、ご安心を。
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ここで掘り出し物情報をひとつ
実は1990年は、オー ブリオンと同じオーナーの「ラ ミッション オー ブリオン」も、桁違いに素晴らしいのです。
1985、1986、1990、1994、1996、1998を並べてテイスティングしたのですが、1990年が飛び抜けて官能的でした。
香りにシダー(杉)とシガー(たばこ)となめし皮のニュアンス、熟成による複雑味と完熟した果実味が緻密に交じり合っており、古典的スタイルの最上級ボルドーワインの凄みが味わえます。
まったくオー ブリオンに引けをとらないどころか、力強さやエキスの厚みは僅かに上回っているようにも感じます。
ラ ミッション オー ブリオンは、5大シャトーと同列に語られるべきシャトーです。
すでに1989年、2000年、2009年はパーカー100点なので高く評価されてはいますが、ブランドイメージや価格はまだトップと差があります。
オー ブリオンほど多くは見かけませんが、見つけたら買い!の逸品です。
(「ラ トゥール オー ブリオン」や「ラ シャペル ~(セカンドラベル)」と間違えないようにご注意を)
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