フランスのシャンパーニュ地方ランス近くにある三ツ星レストランL’Assiette Champenoise<ラシエット シャンプノワーズ>でディナーをいただいたときのこと。
好きな「エグリ ウーリエ」と料理のマリアージュを楽しみ、さすがシャンパーニュ地方のレストランでいただく料理はシャンパーニュに良く合うと感心しておりました。
食事の終わり頃にチーズワゴンがやってきまして、もうお腹が一杯だったので「この中でシャンパーニュに合うおすすめチーズを一つだけください」とソムリエに尋ねました。すると彼はこう即答したのです。
「では、パルミジャーノ レッジャーノを」
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シャンパーニュのド真ん中でイタリアのチーズ?
心の中で「シャンパーニュの本場だから土地のチーズのシャウルスか、教科書的な組み合わせでブリヤ サヴァランあたりかな」と思っていたので、面食らいました。
しかし、自信に満ちたソムリエのおすすめ通り、エグリ ウーリエとパルミジャーノ レッジャーノは非常に良く合ったのです。
ラシエット シャンプノワーズは名だたるシャンパーニュ生産者がガラディナーを開催するほど、シャンパーニュ地方の美食を代表するレストランの一つです。そこでイタリアのチーズを迷わずマリアージュさせるという知見と懐の深さに感銘を受け、良い勉強をさせていただきました。
マリアージュのポイントは塩けと旨み
実は、料理を食べるうちに気付いたことがありました。どの皿にも塩が効いているのです。決してしょっぱくはないのですが、しっかりとした塩気でシャンパンがすすむバランスに仕上げてあるのです。
シャンパンには特有のミネラル感があり、塩けのあるものと調和して果実味が引き出されます。ただ、クセのある食材とは要注意です。例えばキャヴィアとシャンパンを合わせる場合、シャンパンにしっかりした深みがないとキャヴィアの生臭さを乗せてしまって美味しくありません。シャンパンと塩辛やブルーチーズを合わせるのが難しいのも同様で、塩け以外の香りや旨み成分も重要です。
パルミジャーノ レッジャーノは数あるチーズの中でも塩けの強いタイプかつ、シェーヴルやウォッシュのようなクセがなく、アミノ酸の結晶が沢山浮くほど旨みが凝縮したチーズです。
また、シャンパンにはスッキリ軽いタイプとしっかり複雑なタイプがあり、その時のエグリ ウーリエは複雑味と旨みがあるタイプでした。そこでフレッシュなチーズではなく、塩けと旨みの強いチーズを合わせたということなのでしょう。
日本に帰ってきてから、しっかりしたシャンパンにはパルミジャーノ レッジャーノを合わせて楽しむようになりました。
クリュッグも公認のマリアージュだった
その後シャンパーニュとチーズのマリアージュについて調べていると、クリュッグの公式サイトにパルメザン(パルミジャーノ)とのペアリング紹介を見つけました。
「(略)ペーストリーのごとく軽やかに崩れる熟成パルメザンによって広がり、口内でクリーミーに溶け出します。ここからハーモニーが広がり、パルメザンはKRUG グランド・キュヴェに内包されたドライフルーツと、砕かれたばかりのアーモンドのアロマの香りを引き立てると同時に、チーズにはまろやかな深みが加わります。極上かつシンプルな美味」
コクのあるシャンパーニュとパルミジャーノ レッジャーノを合わせるのは、地元グルメでは当たり前になっているようです。
おすすめはヴァッケ ロッセ(赤牛)
シャンパーニュに合わせるパルミジャーノ レッジャーノを選ぶ時のポイントは、熟成期間が長くまろやかなもの。コクがあって上品さもあるというバランスが重要です。
中でも伝統的な農耕牛だった赤牛(ヴァッケ ロッセ)のミルクを原料としたものがおすすめです。赤牛から採れるミルクは濃厚で良質。チーズは原料乳の品質がダイレクトに反映される食品ですからミルクの質がとても重要です。
ヴァッケ ロッセのチーズは熟成期間が24ヶ月以上とパルミジャーノ レッジャーノの規定よりも長く、香りに新鮮な牧草のニュアンスがあり、味にはまろやかな旨味と甘味、長い余韻があります。そこに熟成感のあるシャンパーニュがピタリと調和します。
ヴァッケ ロッセの生産量はパルミジャーノ レッジャーノ全体の1%しかないという貴重品ですが、一部のチーズ専門店で見つけることができます。
至高のパルミジャーノ レッジャーノ「60ヶ月熟成」
パルミジャーノ レッジャーノは熟成期間で風味が違います。スーパーにあるのは18~24ヶ月熟成くらいが多く、紀ノ國屋などの高級グロサリー店やチーズ専門店でも36ヶ月あたりが主流です。
実は、パルミジャーノ レッジャーノに60ヶ月熟成というものがあることをご存知でしょうか。
愛宕のフェルミエで1度、高島屋にあるイタリア高級食材店「PECK」で1度見つけて買ったことがあるのですが、日本ではなかなかお目にかかれないレアものです。
味わいは、とにかく旨みが強く、香りもナッツのような芳醇さ。小さな欠片を少しずつ食べても満足感があるほどの旨みの塊です。普通のパルミジャーノ レッジャーノでも充分美味しいですが、60ヶ月熟成モノは王様の中の王様ともいうべき逸品です。
超長期熟成に耐えるパルミジャーノ レッジャーノはエリート中のエリートということと、出荷時期を延ばすと生産者の負担になるため、あまり出回らない貴重品です。非常に高価なチーズですが、パルミジャーノ好きなら一度頂点を味わってみたいもの。
通販で買えるところを見つけました。
≫ パルミジャーノ レッジャーノ DOP パルマ オーガニック 5年熟成 300g/ナチュラルチーズ通販フロマージュ(※完売/2019年10月時点 )
≫ フィリップ・アレオス熟成士『パルミジャーノ・レジャーノ60ヶ月熟成』/オーダーチーズ.com(※完売/2018年10月時点 )
(2個セットやゴーダ36ヶ月熟成とのセットがちょっとお得)
36ヶ月パルミジャーノは1kgがお値打ち
ザネッティ社製 パルミジャーノ レッジャーノ 36ヶ月熟成 ストラヴェッキォ 【約1kg】【450円(税別)/100g当り再計算】【D+1】 |
普段使いの美味しいパルミジャーノ レッジャーノをお探しの方には、36ヶ月熟成を大きめのブロックで買われるとお値打ちです。パーティに出したり、共同購入してお仲間で分けてもいいですね。
チーズショップでの相場は約1,000円/100gあたりですが、1kgブロックを450円/100gと割安で売っているショップがあります。
≫ ザネッティ社製 パルミジャーノ レッジャーノ 36ヶ月熟成 ストラヴェッキォ 1kg/ハイ食材室
Amazonにもあります。
ラシエット シャンプノワーズに宿泊できます
ご紹介したシャンパーニュ地方の名店ラシエット シャンプノワーズはオーベルジュとして宿泊することもできます。美食に合うシャンパンを浴びて、そのまま部屋で眠れるなんて最高です。
シャンパーニュへお出かけの際は是非ゆっくりとお過ごしください。素晴らしく状態の良いシャンパンと洗練された料理を一生の思い出に。
シャンパーニュの生産者とお店の情報はこの2冊がとても役立ちました。
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