開高 健「ロマネ・コンティ・一九三五年」を読む

「酒飲みと酒好きは違う」と聞く。

開高健はどちらだったのだろうか。

酒の味が登場する場面で精緻かつ生命が踊りだす筆を見ると、この人は相当な酒好きだぞ、と思う。

いや「酒飲みと酒好きは違う」と言うのは、きっと単なる酒飲みが「俺は味わっているのであって、酔っ払いとは違う」と気取りたいだけのことなのかもしれない。

 

ともかく、開高健が酒飲みで良かった。

小説の中では、官能と倦怠、生命の躍動と死の沈殿、その両方が絡まって蠢いていて、まるで骨太な憂いが肉体を持ち、世界を旅し、食べ、味わい尽くしているようだ。

 

この短篇「ロマネ・コンティ・一九三五年」は、ワインが出てくる小説の中でも屈指の名品である。

同じテーブルでご相伴にあずかっているような会話が楽しい。

そうだよ、ワインを飲む時の主役は、ワインじゃなくて人なんだよな。

現代でもなおロマネ コンティの価値を生むコトの一端に、さりげなく触れられている。

そうだよ、ここん家は大昔から手仕事で、それが当たり前なんだよな。

 

ネタバレにならないよう、このあたりで終わりにいたしましょう。

文中で、ワインの味を語る身としては忘れられない、ある表現に出会いますよ。

 

この本を読んだ後、ロマネ コンティが飲みたくなるか、ならないか、はたして貴方はどちら?

 

ロマネ・コンティ・一九三五年 六つの短篇小説 (文春文庫)
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<公式サイト>DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI<ドメーヌ ド ラ ロマネ・コンティ>

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